正倉院では、毎年秋に宝物の点検が行われ、その時期に合わせて宝物を一般に公開する「正倉院展」が奈良の秋を飾る、一大イベントとなっています。「正倉院展」という言葉を聞くと、秋の訪れを感じる人も多いのではないでしょうか。2024年「第76回正倉院展」は10月26日(土)から11月11日(月)まで奈良国立博物館(以下奈良博)で開催されます。昨年、好評をいただいた動画「おうちで予習!正倉院展」の2024年版として、会場である「奈良博」と正倉院展との深い関係について、そして、昨年に引き続き、展示される美しい宝物に秘められた物語やその鑑賞ポイントについて、詳しく解説します。おうちで事前にじっくり学んでから、秋の奈良への旅行とともに、正倉院展を訪れてみませんか。
井上 洋一(いのうえ よういち )
1956年生まれ。専門は日本考古学、博物館学。國學院大學大学院博士課程後期単位取得。1985年東京国立博物館学芸部考古課先史室研究員に任官。その後、考古課主任研究官、先史室長、展示調整室長、教育普及課長、企画課長、九州国立博物館学芸部長、東京国立博物館学芸企画部長、東京国立博物館副館長などを歴任。2021年4月から現職。日本のみならずシリア、パキスタンなどで遺跡の発掘調査や保存修復プロジェクトにも参画。考古学研究を続けるとともに日本ならびに諸外国の各種展覧会の企画運営にもあたってきた。國學院大學大学院非常勤講師、日本ユネスコ国内委員会委員、日本博物館協会参与として、後進の育成に努めるとともに、さまざまな文化財保護や博物館活動に参画している。